「
紅く煌く亥中の月」総レビューページは
こちらです。
夏休みも終わり、ついに格好のイベント『学園祭』!
今度の槍ヶ岳の計画は…と思いきや、今度はTV無関係の大危機!(危機はいつもか?)
前回同様、学園祭どころか主人公の鉄平やゆかりすらおいてけぼりで、話は進んでいく。
最初の視点は前巻「
エトセトラ上等。 」にて初登場した、
滝本柚子。
文七との今後が期待されるキャラクターで、個人的にはレギュラー格に上がってほしい人物第一位。
鉄平&ゆかりのように完成されたカップルでなく、どう発展するのかが本当に楽しみ。
今回は、物語の主軸に関わることはなかったが、登場頻度が多くて嬉しかった。
すでに超常体験はしているし、内界人と接するのもそう遠くないかも…?
さらに、前巻に続いて新キャラクターが登場。
殺しの技術を身に付けた紫詰草、露草姉妹や、チビ槍ヶ岳こと越後屋。
なんだか登場キャラクターが増えすぎると、掘り下げが足りなくなるような気もするが、
ハヤミマコトに比べて、ずいぶん挿絵にも気合の入ってる紫姉妹などは、それなりに期待がもてる。
恐ろしいくらいに容赦ない鉄拳を越後屋や鉄平に食らわせる姿はシュールだったが、
彼女らも第二世界の犠牲者として、ハヤミマコト以上に掘り下げられそうではある。
これから味方になったりしないだろうかなぁ…
さて、いつも熱い熱い鉄平の姿を見れるのが、この作品の魅力だと他のレビューで繰り返してきた。
ただ、今回は文七の勝ちかな?(前回も一番熱かったのは文七)
確かにいつも通り鉄平も熱いんだけど、あくまで「いつも通り」。
記憶を失ったままでも柚子を信じ、催涙ガスに犯されながらも身を挺して、かつ冷静に柚子を守る。
鉄平が記憶を失ったままでも、ゆかりを守っただろうが、ここまで冷静には動けなかっただろう。
そして、
満身創痍ながらも露草に戦う意志を見せて立ち上がる姿(特に挿絵)が超カッコいい!
勝つ事こそ叶わなかったものの、完全に主人公の鉄平を喰ってるw
鉄平&ゆかりもいいが、今度から文七&柚子との二本立てで送ってもらいたくなったよ。
この場面から、ようやく主人公の鉄平に主導権が握られるのだが、ちょっとインパクトに欠けるかな。
屋上から落とされても生還することや、ゆかりと共闘することは見せ場であるものの、
戦闘描写の多い本巻の中で、特に突出したものがあるわけではなかった。
登場頻度が少なかったゆかりが突然、何の前触れもなく記憶を取り戻したり、
二人がかりとはいえ、催涙ガスに冒されている(特にゆかりは完全にダウンしていた)のに、
素手で戦闘のプロである露草に勝ってしまうなどは、ちょっと納得がいかなかった。
(露草より弱い詰草でも、大目玉+ヒール+アヒルの消火器でやっと勝てたのに)
そこまでご都合主義にするなら、露草は文七に倒してほしかった…
なんだか前巻に引き続き、鉄平&ゆかりの活躍の場が極端に少なかった今回だが、
(特にゆかりは活躍どころか、登場頻度すら最下位だった感じ)
次巻こそは思いっきり活躍してくれそうな感じではある。
再び記憶を失ったゆかりと、記憶を失ったフリをしなくてはならない鉄平。
「
ジューンブライド上等。 」でゆかりが味わったような苦悩を、今度は鉄平が味わうだろうが、
それを如何にして読者に共感を持たせるように描き、熱く解決するかが次巻の見所かな。
そろそろ活躍してくれないと、前までの熱さが失われそうで…
最後に付け加える点がある。
この作品では毎回一巻完結型の構成をとっていたため、今回もHappyEndで終わると思っていた。
それゆえ、
どこか緊張感ないままに読み続け、「これで鉄平が敵を倒して終わりだろ」あるいは「捕らわれのはずの槍ヶ岳が登場して場を収めてくれるだろ」と思った。 その意味では、
完全に予想外のラストであり、次巻以降でそういった読み方が出来なくなる布石に。
この巻自体の評価はそんなに高くないが、おそらく次巻の引き立てに立っているためだと思う。
衝撃のラストの後、どういった収拾のつけ方をするのかが非常に楽しみである。